8月24日の日記

１時間、早く起きる。さすがに疲れがたまっていて、体がだるい。
昨日、タイヤがパンクした。だから、今日は電車で。
駅まで歩いて５分。少し余裕をもって玄関を出る。
郵便受けに親展２通、ダイレクトメール１通、紙切れのチラシ１枚。
コピー用紙にワープロ文。手に取る。

「
　　　　　　　　小説のアイディア募集


構成や内容について相談できる方。
高校生以上。時給1200円。
近くのコーヒーショップにて。飲み物代も負担。
詳細はメールで。


　　　　　　　　　　　　　　　　　×××@××.ne.jp

　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　」

親展の封筒のみを手に、駅へと歩きはじめる。まだ頭はすっきりしない。
ゴミ出しをする壮年の女性。一瞬目が合う。携帯で電車の発車時刻を確かめる。
時間は充分ある。
できるなら、もう少し眠っていたかった。おそらく昨日の自分なら、まだ夢のなかにいたはずだ。いや。最近、夢を見たか？どんな夢を？覚えていない。

なにもない場所でつまずく。ユーカリ、柘榴、ナツメの道。木陰の色は濃い。今日も暑くなりそうだ。向こうに着いたら、冷たいコーヒーを頼もう。馴染みの店で。小説の話が聞けるかもしれない。誰かの。もしかしたら年下の、女の子かもしれない。ああでも、報酬を出すとなると、きちんとした社会人かもしれない。しかし、大の大人が……
　
踵を返す。早歩きで道を戻る。時間はまだある。玄関。少し呼吸が乱れて、郵便受けに手を突っ込む。
紙切れをカバンにしまう。
呼吸を整えるためにその場に立ち止まる。エントランスのガラスに映りこんだ自分の姿を見る。目が合う。
再び踵を返す。もう一度駅まで、同じ道を、歩き出す。